SAPプロフェッショナルコラム
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SAP S/4HANA化後の次を創る - 運用保守の延長からAIで攻めのITへ
【第3回】AI導入はPoCから始めない
“お試しAI”ではなく、“現場で動くAI”から始める
「まずはPoCから」──その言葉が危険信号です。PoC(概念実証)を何度繰り返しても、本番導入に進めない企業が多いのが現実です。
なぜ、PoCは“次”につながらないのでしょうか?
PoCの罠:「成果は出たのに、誰も使わない」
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- AIのPoCが失敗する典型的なパターンは、次のような流れです。
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目的:「需要予測をAIでやってみよう」
データを集め、分析会社がモデルを作成
プレゼンで「精度85%」と報告、拍手
翌日から現場では使われない - 原因は明快──業務に組み込む設計になっていないから。
AI導入の本質は「業務の中に溶け込ませる」こと
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AIは特別な存在ではありません。日々の業務の中で、判断を「少し速く・正確に」する道具です。
だから出発点は「AIを作ること」ではなく、「どの業務にどう使うか」を描くこと。 - 例えば
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AIは特別な存在ではありません。日々の業務の中で、判断を「少し速く・正確に」する道具です。
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●SAPワークフローで異常な申請をAIが検知
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●承認依頼メールをAIが優先度順に並び替え
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●運用ログから障害兆候を予測
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- AIはPoCではなく、日常業務の延長として小さく始める方が成功します。
NHSの現実解:「PoCしないAI導入」
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NHSはAI導入を“ゼロからの実験”ではなく、既存業務の拡張として捉えます。
現場業務に根づいたソリューションにAIを組み込み、ユーザーは新しい操作を覚える必要なし。 - “今の業務の延長線上でAIの恩恵を受ける”
- ──これが私たちのアプローチです。
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NHSはAI導入を“ゼロからの実験”ではなく、既存業務の拡張として捉えます。
PoCを飛ばして「小さな本番」へ
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このアプローチはPoCに時間とコストを費やさず、短期間で業務に効果をもたらします。
もちろんPoCを省略しても、精度検証や業務フィードバックは継続的に行います。
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このアプローチはPoCに時間とコストを費やさず、短期間で業務に効果をもたらします。
導入ステップ
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1既存ソリューションを起点にテーマを設定(例:購買分析、在庫最適化、運用監視など)
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2SAPシステムや関連データを活用してAI機能を拡張
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3現場で即利用可能なUIへ反映
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4実運用で精度を高める
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- これにより、「AIを試す」段階を省き、短期間で業務に効果をもたらすことが可能になります。
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- 次回:「AIネイティブERPへの進化」
- SAP社が描く “Intelligent Enterprise” の姿とは何か。そして、今の運用現場で何から準備すべきかを解説します。
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