SAPプロフェッショナルコラム

連載-3

SAPユーザ企業のAI活用実践ガイド ― 定着・ROI最大化・リスク対策

【第2回】AI精度はデータ品質で決まる!
SAPシステムにおけるデータクレンジング実践ガイド

AIツールを導入さえすれば、あとはSAPデータを自動で賢く分析してくれる。多くの企業で、この期待と現実のギャップが生まれています。

生成AIや高度なAIモデルへの注目が高まる一方で、実際に最も多くの費用と工数が発生しているのは"データ準備(前処理)"であることが、さまざまな調査や運用現場の知見から指摘されています。
AI導入において見落とされがちなSAPデータ品質改善とガバナンス設計を実態とともに解説します。

AI投資の中心は「モデル」ではなく「データ準備」

一例として、AI関連投資は次のような比率で語られることがあります。

投資領域 投資比率の目安
1データ準備(整備・クレンジング) 40〜60%
2AIモデル開発/PoC 20〜30%
3業務適用・展開 10〜20%

つまり、AI導入の主戦場は高度なモデルではなく、データを使える状態に仕上げる"仕込み工程"にあると言えます。
特にSAPシステムでは購買・在庫・販売・生産など複数領域が密接に連動するため、データ品質の影響が特に大きくなります。

なぜSAPデータのクレンジングは大変なのか?

SAPデータ整備が難航する理由は主に3つです。

1

データが「現場入力の産物」であり揺らぎが発生する
SAPシステムでは日々データが登録・更新されるため、運用の中で入力や表記の揺らぎが生じることがあります。

よくあるデータ品質問題 AIに生じる影響
取引先名が混在(A社/A社/エーシャ) 与信・入金予測AIが誤学習
品目マスタ属性の欠落(重量、寸法、危険物区分) 在庫最適化AIが不適切発注
過去データの欠損・異常日付 需要予測が乱れ精度低下
コード体系の混在 全社データ統合が困難に
2

モジュール連携が複雑
在庫AIひとつ取っても、品目・購買・販売・生産の複数依存を整理する必要があります。

3

履歴データが膨大
10〜20年分のデータが残存していることも珍しくなく、対象範囲の判断だけでも大きな工数となります。
また「全期間を綺麗にしようとして頓挫する」ケースも散見されます。

SAPデータのクレンジングとガバナンス設計は3つのステップで進めることをお勧めします。

Step1:現状診断(品質KPIの可視化)

Step2:データクレンジング

Step3:ガバナンス設計

AI導入を成功させるための「現実的な発想」

AI導入はツール導入ではなく、"意思決定の精度を高めるためにデータを磨く取り組み"です。
すべてを完璧にする必要はありません。
AIが使うデータから優先整備することが、成果への最短ルートとなります。

まずは現状診断から始めませんか?

「どこから手をつければいいのか?」という悩みを抱える企業に向けて、NHSは「マスタ登録ソリューション」「SAPシステムデータアーカイブ&エージング」などクレンジングやガバナンスを後押しするソリューションをご用意しています。


  • 次回:「生成AIで業務改革!成功のポイントとリスク対策」
    生成AIがSAP業務にもたらす可能性と、導入時に注意すべきリスク、さらに安全かつ効果的に活用するためのポイントを整理します。

連載-3

SAPユーザ企業のAI活用実践ガイド ― 定着・ROI最大化・リスク対策

豊富な導入実績とノウハウで
SAPシステム導入・運用支援