SAPプロフェッショナルコラム
SAPカーネル保守サポート期間
SAPカーネルとは、SAPシステムを実行するために必要なOS上に存在するプログラム群です。
SAPカーネルはOSやデータベースごとに存在しており、1システムあたり数百~数千個のプログラムファイルで構成されます。それぞれのプログラムファイルには役割があり、例えばdisp+workはワークプロセス処理実行、R3transは移送実行を担っています。
普段は縁の下でSAPシステムの安定稼働を支えているため目立たない存在ですが、「SAPシステムにおける新しい年号 "令和" の採用」(SAPノート:2600012)などがあり、SAPカーネルのバージョンを確認された方もいると思います。
保守サポート期間
SAP社はSAPカーネルを、OS、データベースシステム、外部インターフェース、セキュリティ要件などH/Wや関連アプリケーションのイノベーションを考慮した上で拡張して公開しており、バージョンごとに保守サポート期間を設定しています。
ここでポイントとなるのは「SAP製品の保守サポート期間」と「SAPカーネルの保守サポート期間」は必ずしも一致しないということです。
例えば、SAP ERPの保守標準期間は2025年末から2027年末に延長されましたが、ご利用のSAPカーネルバージョンによっては、SAPカーネルの保守サポート終了が2025年末である可能性があります。
保守サポート終了の影響
SAPカーネルの保守サポート期間とは、新規パッチが提供される期間のことです。
保守サポート終了後でも当該カーネルを使用することはできますが、未知の不具合や新規改修が必要である場合、該当カーネルに対しての修正(パッチ)は提供されません。
SAPカーネル更新の考え方
基本的なSAPカーネル更新の考え方は以下となります。
NHSのソリューション
パッチ適用、アップグレードとも
「SAPシステムリモートインフラサービス」で対応可能
実際の作業にあたっては「テスト観点」や「ターゲットバージョンとアップグレードパス」を考慮する必要があります。
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- テスト観点
- ・机上確認
- SAP社が把握している既知の不具合や影響が記載されている、SAPノート(総括ノート)を確認します。
※但し、SAPカーネルバージョンにより総括ノートが存在しない可能性があります。 - ・実機確認
- テストに際して、専用のSAPカーネル検証環境をご検討中のお客様は、NHSの「SAPシステムコピー環境構築サービス」をご活用ください。
現行環境に影響を与えず、業務データを用いた検証が自由に行えます。
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- ターゲットバージョンとアップグレードパス
- SAPカーネルはSAP製品ごとに利用できるものが異なります。また、アップグレードパスを確認・検討する必要があります。
例えば、SAPカーネル72xから74xへのアップグレードはできません。